ゲーミングPCの購入を検討するとき、「電気代がどのくらいかかるのか」は気になるポイントの一つではないでしょうか。
ハイエンドなグラフィックボードを搭載したPCは、たしかに消費電力が大きくなります。しかし、実際に計算してみると「思ったほどではない」というのが正直な感想です。
この記事では、ワットチェッカーで実測したデータをベースに、構成別の月額電気代と具体的な節電テクニックを詳しく解説していきます。

構成別:ゲーミングPCの消費電力一覧
ゲーミングPCの消費電力は、搭載しているGPU(グラフィックボード)によって大きく変わります。以下は、代表的な構成ごとの実測値です。
| 構成 | アイドル時 | ゲーム中 | 最大負荷時 |
|---|---|---|---|
| ミドル(RTX 5060) | 60W | 250W | 350W |
| ハイエンド(RTX 5070 Ti) | 80W | 400W | 550W |
| 最上位(RTX 5090) | 100W | 600W | 800W |
注目すべきはアイドル時の消費電力です。ゲームをしていない間は、どの構成でも60〜100W程度。一般的なデスクトップPCと大差ありません。
電力消費が跳ね上がるのは、あくまでGPUに高い負荷がかかっているゲームプレイ中だけです。
月額電気代を具体的に計算してみる
電気料金を30円/kWhとして、1日4時間のゲームプレイ+2時間のアイドル状態を想定した月額電気代は以下のとおりです。
- ミドル構成(RTX 5060):月約1,100円
- ハイエンド構成(RTX 5070 Ti):月約1,800円
- 最上位構成(RTX 5090):月約2,700円
参考までに、PS5の消費電力はゲーム中で約200W前後です。ミドルクラスのゲーミングPCなら、ゲーム機との差はほとんどありません。
ハイエンド構成でも月2,000円弱。コンビニのコーヒー数杯分と考えれば、高性能PCを持て余すほうがよほどもったいないと言えます。

GPU電力制限(Power Limit)で賢く節電する方法
ゲーミングPCの電気代を抑える最も効果的な方法が、GPUの電力制限(Power Limit)を下げることです。
GPUの電力制限を100%から90%に下げた場合の影響を見てみましょう。
| 設定 | fps低下 | 消費電力の削減 |
|---|---|---|
| 100%(デフォルト) | ― | ― |
| 90% | 3〜5%低下 | 15〜20%削減 |
| 80% | 8〜12%低下 | 25〜30%削減 |
性能はほとんど落ちないのに消費電力は大幅に減るという、非常に「おいしい」設定です。MSI Afterburnerをインストールすれば、スライダーを動かすだけで簡単に設定できます。
すぐに実践できる7つの節電テクニック
GPU電力制限以外にも、日常的に取り入れられる節電テクニックがあります。
- 80PLUS Gold以上の高効率電源を使う:電力変換効率が高く、ムダな消費を抑えられる
- 使わないときはスリープにする:シャットダウンより復帰が速く、起動時の突入電力も抑えられる
- モニターの輝度を下げる:モニターの電気代は意外と見落としがちで、輝度を50%に下げるだけで年間数百円の節約になる
- フレームレートリミッターを使う:モニターのリフレッシュレート以上のfpsを出しても意味がないため、上限を設定する
- 不要な常駐ソフトを終了する:バックグラウンドでGPUを使用するアプリがあると、無駄な電力消費につながる
- RGB LEDの輝度を下げる:ファンやメモリのRGBイルミネーションも微量ながら電力を消費している
- Windows電源プランを「バランス」に設定する:「高パフォーマンス」はアイドル時の消費電力が増える

電気代より効果が大きい「電力会社の見直し」
正直なところ、ゲーミングPCの節電で削減できるのは月数百円程度。それよりも電力会社やプランの見直しのほうがインパクトは大きいです。
エネチェンジのような電力比較サイトで現在の契約と他社プランを比較してみると、月数百円〜数千円安くなるケースが珍しくありません。
特に一人暮らしで電力使用量が少ない場合は、基本料金が安いプランに乗り換えるだけでも効果があります。PC単体の節電よりも、家全体の電気料金を最適化するほうが合理的です。
UPS(無停電電源装置)で大切なデータを守る
電気代の話題から少し外れますが、ゲーミングPCを使うならUPS(無停電電源装置)の導入も検討する価値があります。
突然の停電でゲーム中のセーブデータが飛んだり、最悪の場合ストレージが破損したりするリスクは、意外と軽視されています。UPSがあれば、停電時にも数分間PCが動作し続けるため、安全にシャットダウンする時間を確保できます。
UPSはあくまで「安全にシャットダウンするための時間稼ぎ」です。UPSがあるからといって停電中にゲームを続けられるわけではありません。バッテリー容量に見合った使い方をしましょう。
APCのBR550S-JPは家庭用UPSの定番モデルで、1万円前後で購入できます。ゲーミングPCの「保険」として非常にコスパの良い投資です。

よくある質問(Q&A)
Q. ゲーミングノートPCはデスクトップより電気代が安い?
A. はい、ゲーミングノートPCは省電力設計のため、同等性能のデスクトップと比較して消費電力が30〜50%程度少なくなります。ただしその分、冷却性能に制約があり、長時間のゲームプレイでは性能が低下する(サーマルスロットリング)ケースもあります。
Q. つけっぱなしにするとどのくらいかかる?
A. アイドル状態で24時間つけっぱなしにした場合、ミドル構成で月約1,300円、ハイエンドで月約1,700円程度です。スリープ設定を有効にしておけば、放置時の消費電力はさらに下がります。
Q. 電源の変換効率(80PLUS認証)はどのくらい電気代に影響する?
A. 80PLUS Bronze(82%効率)と80PLUS Gold(87%効率)の差は約5%。月の電気代に換算すると100〜200円程度の差になります。大きな差ではありませんが、電源は5年以上使うパーツなので、長期的に見るとGoldを選ぶメリットは十分あります。
電気代計算シミュレーターを使えば、自分の環境に合わせたより正確な電気代を計算できます。
まとめ:電気代を気にしてゲームを控えるのはもったいない
ゲーミングPCの電気代について、要点を整理します。
- ミドルクラスで月約1,100円、ハイエンドでも月約1,800円
- GPU電力制限を90%に設定するだけで、性能微減×電気代大幅減が実現
- 電力プランの見直しのほうが節約効果は大きい
- UPSの導入でデータ消失リスクも回避できる
- 月2,000円の電気代を節約するためにゲーム時間を減らすのは本末転倒
電気代に関する追加Q&A
Q. ゲーミングPCとモニターを合わせた消費電力はどのくらい?
見落としがちですが、モニターも電力を消費します。27インチのゲーミングモニターで約30〜50W、ウルトラワイドモニターだと60〜80W程度です。PC本体+モニターで考えると、ゲーム中の消費電力は300〜500Wが現実的な数字です。モニターの輝度を50%に下げるだけでも消費電力を20%程度カットできるので、電気代が気になる方は試してみてください。
Q. スリープとシャットダウン、電気代的にはどちらがいい?
数時間以内にまた使う場合はスリープ、翌日まで使わない場合はシャットダウンが合理的です。スリープ状態の消費電力は約3〜5Wと極めて少なく、1ヶ月つけっぱなしにしても100円程度です。頻繁にシャットダウン→起動を繰り返すよりも、スリープを活用したほうがパーツへの負担も軽減できます。

せっかく高性能なPCを手に入れたのですから、電気代は「快適なゲーム体験への投資」と割り切って、思い切り楽しんでいただければと思います。


