ゲームのランクマッチ中に突然の停電――セーブされていないデータは消え、オンラインゲームではペナルティを食らう。そんな最悪の事態を防いでくれるのがUPS(無停電電源装置)です。
この記事では、ゲーミングPCにUPSが必要な理由から、選び方のポイント、おすすめモデルまで詳しく解説します。落雷や瞬間停電からPCを守るために、電源周りの対策をしっかり固めておきましょう。

UPSとは?ゲーミングPCに必要な理由
UPS(Uninterruptible Power Supply)は、停電時にバッテリーから電力を供給し、接続された機器を一定時間動かし続けるための装置です。ゲーミングPCにUPSを導入するメリットは主に以下の通りです。
- 停電時にPCを安全にシャットダウンする時間を確保できる
- 瞬間停電(瞬停)による突然のシャットダウンを防げる
- 雷サージからPCパーツを保護できる
- 電圧変動によるPCの不安定動作を抑えられる
特にハイエンドなグラフィックボードやSSDを搭載したゲーミングPCは、突然の電源断がハードウェア故障の原因になることがあります。SSDのデータ書き込み中に電源が切れるとデータ破損のリスクもあるため、UPSは保険として価値のある投資です。
また、見落としがちですが、ゲーミングPC以外にもルーターやNAS(ネットワーク接続ストレージ)を使っている場合、それらのデータ保護にもUPSが活躍します。特にNASはRAID構成中に電源が落ちるとアレイが崩壊するリスクがあるため、データの安全性を重視するなら、PC本体とあわせてNASもUPSに接続するのが理想です。
UPSの選び方|ゲーミングPCに必要なスペック
正弦波出力は必須
UPSを選ぶ際にもっとも重要なポイントは「正弦波出力」であることです。ゲーミングPCの電源ユニットは、Active PFC(力率改善回路)を搭載した80PLUS認証モデルが主流です。Active PFCは正弦波を前提に設計されているため、安価な矩形波(疑似正弦波)UPSでは停電時にPCがシャットダウンしてしまう可能性があります。
正弦波とは、家庭のコンセントから出力される電気と同じ波形のことです。PCの電源ユニットはこの波形を前提に動作するので、矩形波のUPSでは正常に電力を受け取れないケースが発生します。製品スペックに「Pure Sine Wave」「正弦波」と明記されているモデルを選びましょう。
矩形波出力のUPSは、ゲーミングPCの電源ユニットと相性が悪いため避けてください。UPS購入時は「正弦波」「Pure Sine Wave」の表記を必ず確認しましょう。80PLUS GOLD以上の電源ユニットを使っているなら、正弦波モデルは必須条件です。
容量(VA/W)の計算方法
UPSの容量は「VA(ボルトアンペア)」と「W(ワット)」で表記されます。ゲーミングPCに必要な容量の目安は以下の通りです。
| PC構成 | 消費電力の目安 | 推奨UPS容量 |
|---|---|---|
| ミドルクラス(RTX 4060相当) | 300〜400W | 750VA/450W以上 |
| ハイクラス(RTX 5070相当) | 400〜550W | 1000VA/600W以上 |
| ハイエンド(RTX 5080以上) | 550〜750W | 1500VA/900W以上 |
PCの消費電力に対して1.5倍程度の余裕を持たせるのが安全です。モニターも接続する場合は、その分も加算して計算してください。なお、VAとWの数値が異なるのは力率の関係です。実際に消費される電力はW(ワット)で計算するため、W表記の数値がPC側の消費電力を上回っているかをチェックしましょう。
給電方式の違い
UPSの給電方式には3種類あります。
- 常時商用給電方式:通常時は商用電源をそのまま供給。最もシンプルで安価。切り替え時間は5〜10ms程度
- ラインインタラクティブ方式:電圧変動を自動調整しつつ、停電時はバッテリーに切り替え。コストと性能のバランスがよい
- 常時インバータ方式:常にバッテリーを経由して給電。切り替え時間ゼロだが高価。サーバー向き
ゲーミングPC用途では、ラインインタラクティブ方式がコストパフォーマンスに優れておすすめです。常時商用給電方式は安価ですが、切り替え時間が長めなので瞬停に弱い場合があります。常時インバータ方式は理想的ですが、家庭用としてはオーバースペックで価格も高くなります。

おすすめのUPSモデル
CyberPower CPJ1200
正弦波出力・ラインインタラクティブ方式を採用した人気モデルです。720Wの出力でミドルクラス〜ハイクラスのゲーミングPCに対応可能。LCD表示で消費電力やバッテリー残量をリアルタイムに確認できます。USB接続でPCと連携し、付属のソフトウェア「PowerPanel」で停電時の自動シャットダウン設定も可能です。
APC BR1000S-JP
UPSの定番ブランドであるAPC(Schneider Electric)のモデルです。正弦波出力対応で、600Wの出力を持ちます。USB接続でPCと連携し、停電時に自動シャットダウンするソフトウェアも付属しています。APCは世界的にシェアが高く、交換用バッテリーやアクセサリーも入手しやすいのが強みです。
オムロン BW55T
国内メーカーのオムロンが提供する常時商用給電方式のUPSです。日本の電源事情に最適化されており、サポートも日本語で受けられるのが安心ポイントです。オムロンの自動電圧調整(AVR)機能により、電圧変動が多い地域でも安定した給電が期待できます。
- 正弦波出力のモデルを選ぶこと
- PCの消費電力×1.5倍の容量を確保する
- ラインインタラクティブ方式がコスパに優れる
- バッテリー交換可能なモデルを選ぶと長期運用しやすい
- LCD表示付きだとバッテリー残量や消費電力を確認しやすい
UPSの自動シャットダウン設定
UPSを導入しただけでは、長時間の停電時にバッテリーが切れてPCが落ちてしまいます。そこで活用したいのがUPSの自動シャットダウン機能です。
多くのUPSにはUSBケーブルが付属しており、PCと接続することで専用ソフトウェアと連携できます。停電を検知した際に、自動でファイルを保存してPCをシャットダウンする設定が可能です。Windowsの場合、CyberPowerの「PowerPanel Personal」やAPCの「PowerChute Personal Edition」などの無料ソフトが利用できます。
- UPS付属のUSBケーブルでPCと接続する
- メーカー提供の無料ソフトをインストールする
- 「バッテリー残量○%以下で自動シャットダウン」の設定を行う
- 設定後は一度テスト(UPSの電源プラグを抜く)して動作確認する
UPSのメンテナンスと寿命
UPSの内蔵バッテリーは消耗品です。一般的な寿命は3〜5年で、経年劣化により容量が減少していきます。バッテリー交換可能なモデルを選んでおくと、本体はそのままでバッテリーだけ交換して使い続けられます。
また、UPSは半年に1回程度セルフテストを実行し、バッテリーの状態を確認しておくことが推奨されています。多くのUPSには自動セルフテスト機能が搭載されています。バッテリー警告ランプが点灯したり、セルフテストで異常が検出された場合は、速やかにバッテリーを交換しましょう。劣化したバッテリーのまま使い続けると、いざ停電が起きたときに電力供給ができず意味がなくなってしまいます。
UPSの設置場所と接続方法
設置場所のポイント
UPSは熱を発生するため、通気性のよい場所に設置してください。直射日光が当たる場所や、密閉されたデスク下のキャビネット内は避けましょう。また、UPS自体がかなりの重量(10〜20kg程度)があるため、床置きが基本です。
接続する機器の優先順位
UPSのバッテリー持続時間は限られているため、接続する機器は優先順位をつけて厳選しましょう。
- ゲーミングPC本体(必須)
- メインモニター(シャットダウン操作に必要)
- ルーター/モデム(オンラインゲームの場合)
プリンターやスピーカーなど、停電時に保護する必要のない機器はUPSに接続せず、通常のコンセントに接続してください。なお、UPSの背面にはバッテリーバックアップ付きのコンセントとサージ保護のみのコンセントが分かれているモデルが多いです。バッテリーバックアップ付きのコンセントにPCとモニターを、サージ保護のみのコンセントにはスピーカーなどの周辺機器をつなぐと効率的に使えます。

Q&A:UPSに関するよくある質問
Q. UPSだけで何時間もゲームを続けられる?
いいえ、一般的な家庭用UPSのバッテリー持続時間は、ゲーミングPC接続時で5〜15分程度です。あくまで「安全にシャットダウンする時間を確保する」ための装置です。
Q. 雷サージ対策としてだけ使える?
はい、UPSの多くには雷サージプロテクション機能が搭載されています。停電対策が不要でもサージ対策として導入する価値は十分あります。
Q. UPSの置き場所はどこがいい?
PCの近く、直射日光が当たらず通気性のよい場所が理想です。UPS自体も発熱するため、密閉された場所は避けてください。
Q. UPSのバッテリーは自分で交換できる?
バッテリー交換可能なモデルであれば、ユーザー自身で交換できます。CyberPowerやAPCのモデルは交換用バッテリーが市販されています。交換手順はマニュアルに記載されており、工具不要で交換できるモデルも多いです。
Q. UPSから異音がするのは故障?
UPSは通常動作時にファンの音や軽い「ジー」という音がすることがあります。ただし、「ピーピー」というアラーム音が鳴り続ける場合は、バッテリーの劣化やオーバーロード(接続機器の消費電力超過)が原因の可能性があります。アラームが鳴ったらLCD表示やインジケーターランプを確認して原因を特定しましょう。

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まとめ:電源トラブルからゲーミングPCを守ろう
UPSは停電や瞬停、雷サージからゲーミングPCを守る頼もしい味方です。選ぶ際は正弦波出力・十分な容量・バッテリー交換可能の3つを押さえておけば間違いありません。加えて、自動シャットダウン設定まで済ませておけば、万が一の停電時にも安心です。
UPS選びの参考として、価格.comのUPSカテゴリでユーザーレビューを確認するのもおすすめです。また、APC公式サイトではUPSの選定ツールも提供されています。CyberPowerの製品情報はCyberPower日本公式サイトから確認できます。


